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MOSTLY CLASSIC(モーストリー・クラシック)
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■目次■
表紙 ワルター、クルレンツィス、グールド、ロンドー

特集
伝統、正統性とは
演奏スタイルの変遷

果たして演奏スタイル、演奏法に伝統的な演奏や正統的なスタイルといったものがあるのだろうか。また、ドイツ的、フランス的な演奏といわれるが、それはどういったものなのだろうか。これらの疑問を解決するために組んだ特集。
桐朋学園大学の西原稔教授は「録音で聴く往年の演奏は味がある。しかし、左右の手の拍の音をずらした演奏やポルタメント、自由なテンポ・ルバートは、20世紀後半に入ると古色蒼然とした過去の演奏スタイルとして忌み嫌われた。だがこの往年の演奏は誤りなのであろうか。むしろ、拍を合わせるのではなく、拍をずらすのはバロック時代以来のもっとも正統的な演奏法であり、一糸乱れぬ拍通りの演奏は20世紀まで存在しなかった」と指摘する。
19世紀、20世紀前半まではロマンティックな演奏で、演奏家は勝手に楽譜を変更して演奏していた。その反動として楽譜に忠実にノイエ・ザッハリヒカイト(新即物主義)な演奏が生まれた。演奏家の時代でもあった20世紀は、トスカニーニ、フルトヴェングラー、カラヤン、バーンスタインらスター指揮者が聴衆を魅了した。
カラヤンに師事した東京シティ・フィル常任指揮者などを務める高関健は「トスカニーニとフルトヴェングラー、そしてカラヤンはそれぞれそんなに遠いところにはいないのです。実は彼らの基本に、とてもオーソドックスな誰にも文句を言わせない演奏法があるのです。これは新即物主義と共通する部分がありますが、このスタイルで弾かれた演奏を聴いてもあまり面白くないし、個性を感じられません。それに比べると、トスカニーニなど一流の演奏家はもっと違うところで勝負をしています。いい演奏というのは逸脱しており、飛び出しているところがあるのです」と話す。
演奏家は子供のころから楽譜通りに演奏する訓練を積み重ねる。しかし楽譜に忠実に演奏することが正しいのだろうか。指揮者でもあったマーラーやワーグナーがシューマンやベートーヴェンの楽譜に手を入れている。作曲家の吉松隆は「自分の曲を演奏してもらうとき、おそらく演奏家に一番よく言うのが『楽譜通り弾かないで(弾こうと思わないで)下さい!』というセリフだ。勿論それは、楽譜を無視して弾いていいという意味ではない。楽譜に書いてある音を『正確に均質に安全に弾く』ということにこだわらず、楽譜の向こうにある『音楽』を感じ、それを優先して欲しい。楽譜はそのためのガイドに過ぎない、という意味だ」という。
21世紀の演奏は多様化している。古楽の発展の影響も大きい。古楽の演奏方をモダン楽器のオーケストラが取り入れることは普通になった。音楽ジャーナリストの寺西肇氏は「作品の時代に特有の語法を踏まえるのは常識に。かたや、古楽の世界で声高に叫ばれた『オーセンティシティ(正統性)』という言葉を、耳にする機会は激減した。垣根は取り払われつつある」とする。
20世紀から活躍するアファナシエフやポゴレリチ、ギリシャ出身の指揮者クルレンツィス、モルドヴァのヴァイオリニスト、コパチンスカヤ、ピアノのタローやブニアティシヴィリ、チェンバロのロンドーら異能の活躍が21世紀の演奏スタイルをさらに変化させていくに違いない。
他に、◎トスカニーニ、フルトヴェングラーからカラヤンへ◎ウィーン・フィルの伝統と演奏の変遷◎ショパンの演奏スタイルの変遷◎フランス的な演奏とは何か◎オーケストラの楽器配置の変遷◎国際コンクールと演奏の正統性をめぐって、などです。

◎BIGが語る エリーザベト・レオンスカヤ ピアノ
ピアノの巨匠エリーザベト・レオンスカヤが4月、東京・春・音楽祭2018で、6夜にわたるシューベルト・チクルスを行う。完成した楽章を持たない第8番、第10番、第12番以外のすべてのソナタを演奏する。レオンスカヤはジョージア出身でモスクワ音楽院に進み、リヒテルの薫陶を受けた。1978年にウィーンに移住。世界の名門オーケストラと共演を重ねてきた。シューベルト・チクルスは2016年、ウィーンで行い、絶賛された。「取り組めば取り組むほど、その先に行きたいという気持ちが湧いてくる作曲家。今の私にとってそれがシューベルトなのです。なぜならシューベルトの作品は本当に多彩で、音楽的、哲学的、文学的な創意にあふれています」と話した。

◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 安倍圭子 マリンバ
3月22日に傘寿(80歳)記念の演奏会が開かれる日本を代表するマリンバ奏者の安倍圭子。出演した世界のフェスティバルは60カ所以上、マスタークラスで指導した音楽大学は115校、世界初演した作品は290曲以上など驚異的な記録の持ち主。マリンバのパイオニアとして音楽シーンを開拓してきた。「クラシック音楽の世界で認めてもらえない時期が続きました。第1回目の新作リサイタルやレコードも文化庁(文部省)の芸術祭に応募しましたが、最初は『マリンバは大衆芸能の楽器だから』と断られました。『こんなに素晴らしい現代音楽の作曲家たちが曲を書いていますから』と訴えかけて、ようやく受け入れてもらったほどです」と当時の苦労を話している。

このほか
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎「鍵盤の血脈 井口基成」中丸美繪
など、おもしろい連載、記事が満載です。

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