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MOSTLY CLASSIC(モーストリー・クラシック)
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■目次■
表紙 パリのマドレーヌ寺院とマグダラのマリア像

特集 レクイエムとは何か

モーツァルト、ヴェルディ、フォーレの3大レクイエムを中心に、「レクイエムとは何か」を特集している。
「死者のためのミサ曲」である「レクイエム」の名は、「第1曲入祭唱」の最初の詩句「レクイエム・エテルナム」(永遠の安息)による。この特別なミサ曲は、王族や貴族、有力者の葬儀の際に作曲、演奏される。またカトリックは11月2日を「死者の記念日」と定め、この時も死者の安息を願って演奏される。
モーツァルトの傑作「レクイエム」は、第8曲「涙の日」の8小節で終わっている。「レクイエム」が作曲された経緯は、さまざまな伝説に彩られ、映画にもなった。モーツァルトに注文をした男は名乗らず、依頼者を明らかにしなかった。その男は夏なのに灰色のコートを着ていたという。注文を受けたのは、モーツァルト最後の年となった1791年夏。秋にかけて、「ティートの慈悲」「魔笛」の2本のオペラを抱え、大忙しだったが、委嘱料が高額だったこともあって引き受ける。しかし、その後、体調を崩し、12月5日に死去した。
今では依頼したのはヴァルゼック=シュトパッハ伯爵で、灰色のコートの男は伯爵の隣に領地を持ち、法律顧問をしていたライトゲープという人物であるなど、詳細な記録が発見され、明らかになった。しかし、モーツァルトの死後、サリエリがモーツァルトを毒殺しただの、モーツァルトは「死神から自身のレクイエムを依頼された」だの、さまざまな噂が飛び交った。
ヴェルディのレクイエムの作曲のきっかけは、1868年のロッシーニの死。イタリアの作曲家13人が共同で「ロッシーニのためのミサ曲」を作った。ヴェルディはこの中の「リベラ・メ(我を救いたまえ)」を担当している。しかし、興行がうまくいかず演奏されずじまい。その後、イタリアの国民的な作家・詩人アレッサンドロ・マンゾーニの死を追悼する「レクイエム」を1874年に作曲した。この作品の「リベラ・メ」はマンゾーニのために書いた曲を転用している。イタリア・オペラの巨匠にふさわしいドラマチックで崇高な音楽が展開する。
やはり傑作に数えられるフォーレの「レクイエム」は1888年1月16日、パリのマドレーヌ寺院で、建築家ルスファシエの葬儀においてフォーレ自身の指揮で初演された。曲は「洗練された格調の高さ、明晰さのうちに秘められた深い抒情的精神」(音楽評論家、寺西基之氏)というフォーレの特質をもっとも端的に示している。現在、演奏される「レクイエム」はこの第1稿ではない。第1稿は「入祭唱とキリエ」「アニュス・デイ」など5曲しかなく、ヴァイオリン・パートがない独特なものだった。その後に楽器の追加や改訂がなされ、1900年のパリ万博開催において演奏されることになり、ヴァイオリン・パートが加えられ通常の2管編成になった。
神に死者の安息を願う「レクイエム」は、今日では教会を離れオーケストラと合唱団のレパートリーとしてコンサートホールで演奏されるようになった。20世紀は「レクイエム」が普遍性を獲得した時代と言えるかも知れない。それでも2つの世界大戦など世界中で悲劇は絶えない。それゆえブリテン、リゲティ、ペンデレツキ、細川俊夫ら現代作曲家の「レクイエム」が生まれ続けている。
他に、◎ルネサンスとバロックのレクイエム◎レクイエムの構造と典礼文◎古典派の作曲家たちのレクイエム◎ブラームス「ドイツ・レクイエム」、ベルリオーズ、ドヴォルザーク◎レクイエムを録音した名指揮者たち◎20世紀に書かれたレクイエム、ブリテン「戦争レクイエム」などです。

◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 上野星矢 フルート
いま人気のフルーティスト。東京芸大を経て、パリ国立高等音楽院を卒業。ランパル国際フルートコンクールで優勝した俊英。今夏も志賀高原で「フルート合宿」を行う。8月に4泊5日で4期に分けて、小学生から年配者まで、各期で最大25人も参加する。講師は他に2人いるが、20日間の日程を終えるとくたくたになる。「ほとんど高地トレーニングですね。終わって東京に戻ると、どんな長いフレーズでも吹けるぞ、という気持ちになります」と話していた。11月10日(日)にはサントリーホール大ホールでリサイタルを開く。

◎ステージ 藤岡幸夫 指揮
この4月に東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の首席客演指揮者に就任した。7月26日(金)、東京オペラシティコンサートホールで就任披露公演を行う。プログラムはシベリウスの交響詩「大洋の女神」、ピアソラ「ブエノスアイレスの四季」(ヴァイオリン:神尾真由子)、ウォルトンの交響曲第1番と、藤岡らしい「攻めの選曲」。「僕ならではの挑戦的なプログラミングでやっていきたいと考えています」と話す。11月の定期演奏会では伊福部昭の舞踊組曲「サロメ」などを指揮する予定になっている。

このほか
◎青島広志の新連載「押しもしないが押されてばかり」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎「鍵盤の血脈 井口基成」中丸美繪
など、おもしろい連載、記事が満載です。

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