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MOSTLY CLASSIC(モーストリー・クラシック)
272
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■目次■
生誕250年記念のベートーヴェン特集も今月号が最後。3号目は1816年から亡くなる27年までの後期にスポットを当てている。「傑作の森」と言われた中期に比べ、作品は圧倒的に少なくなったが、その分、深化している。
交響曲は第9番「合唱付」のみ。「第九」は1818年ごろからスケッチが掛かれ、完成したのは1824年。初演は同年5月7日、ウィーンのケルントナートーア劇場で行われた。ベートーヴェンが亡くなる約3年前になる。
第4楽章に歌われるシラーの詩「歓喜に寄す」は、ベートーヴェンの言葉「おお、友よ、これらの調べではない!もっと快い調べをともに歌おうではないか、もっと喜びあふれる調べを」が加えられた。シラーの詩には40人以上の作曲家が作曲しているが、音楽学の平野昭氏は「ベートーヴェン1人だけが『共和主義』と『世界平和』を祈念するようなメッセージとして仕立てたのだ」と書く。
「第九」の名盤は数多い。音楽評論家の岡本稔氏と鈴木淳史氏が、フルトヴェングラー、トスカニーニ、ワルター、バーンスタイン、ベーム、カラヤン、ノリントン、ティーレマン、ラトルらの演奏を取り上げている。
晩年の大作といえば「ミサ・ソレムニス」をあげなければならない。ベートーヴェンにとって最大のパトロンだったルドルフ大公が1820年、モラヴィアのオルミュッツの大司教に就任することになった。ベートーヴェンは就任式で上演するためのミサ曲の作曲を約束、それが「ミサ・ソレムニス」。結局、就任式には間に合わず、1823年3月26日、サンクトペテルブルクで初演された。自筆総譜の冒頭にベートーヴェンは「心より出でて、心に至らんことを」と書いた。ルドルフ大公に捧げられたのは写譜家による楽譜で、この言葉が書かれた自筆譜は誰にも渡さず、死ぬまで手元に留めた。ベートーヴェンの本心なのだ。
ピアノ曲は第28番から第32番までのソナタ5曲、小品のバガテル、そして33もの変奏曲からなる「ディアベリ変奏曲」が生まれている。なかでも第29番「ハンマークラヴィーア」は現在でも演奏至難な作品で知られる。なにしろベートーヴェン自身が「50年も経てば演奏されるだろう」と豪語したほど。1824年に内輪の集まりで弟子チェルニーが初演、公開初演はベートーヴェン死後の36年、チェルニーの弟子リストが行った。どちらも当時の大ヴィルトゥオーゾだ。1819年に出版されているので、今年はちょうど200年になる。
「ディアベリ変奏曲」の成り立ちも変わっている。ウィーンの音楽家で出版業者のアントン・ディアベリは「独立開業記念・楽譜出版プロジェクト」を企てた。1818年、ディアベリは自作のワルツをオーストリアの多数の作曲家に送り、これを元に変奏曲を書いてくれるように依頼。ベートーヴェンもその1人で、スケッチは書かれたが、「ミサ・ソレムニス」の仕事などで放っておかれたまま。ディアベリは矢の催促を行い、結局足かけ4年かけてベートーヴェン1人だけの「ディアベリ変奏曲」が完成した。この作品の初演もチェルニーが行っている。
他に、◎ベートーヴェン、その劇的生涯◎シューベルト、ベートーヴェンを語る◎弦楽四重奏曲第12~第16番◎ベートーヴェン時代のピアノ◎楽譜出版の勃興にも敏感だったベートーヴェン、などです。
表紙は、1820年のベートーヴェンです。

◎BIGが語る
第31回高松宮殿下記念世界文化賞・音楽部門受賞
アンネ=ゾフィー・ムター ヴァイオリン(下)

3回連続のムターのインタビュー連載も最終回。ムターはルトスワスキ、リーム、デュティユー、グバイドゥーリナ、ペンデレツキら多くの現代音楽を積極的に演奏している。「音楽家の崇高な使命は、聴衆を多彩な音楽の世界へ導く旅に誘い、教育することです。来る何世紀にもわたって、演奏者、聴衆、共に音楽に対する理解を深め、拡大する必要があるのです」と話す。ムターは来年2月に再び来日、ベートーヴェン生誕250年記念の「サントリーホール スペシャルステージ」を行う。ベートーヴェンの三重協奏曲、室内楽、リサイタル、マスタークラスと多彩なスケジュールが組まれている。

◎「宮本文昭の気軽に話そう」ゲスト ヴァイオリン 服部百音

父は作曲家服部隆之、祖父は服部克久、曾祖父は服部良一という代々作曲家の音楽一家に生まれた。ドア1枚を隔てて練習をしていると父親が「いま変ニ長調の曲を書いているんだからハ短調の曲を弾かないでくれ」と言われたことも。ロシア出身の名匠ザハール・ブロンに師事している。「音楽を感覚で捉えたり弾いたりするのではなく、1つの音やフレーズをきちんと理屈で考えることが大事」と教わった。11月22日に紀尾井ホールでリサイタルを行う。R.シュトラウスのソナタにラヴェルの「ツィガーヌ」などを演奏する。

このほか
◎中野雄の音楽人間模様
◎青島広志の「押しもしないが押されてばかり」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎「鍵盤の血脈 井口基成」中丸美繪
など、おもしろい連載、記事が満載です。

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