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富士山マガジン 2020.9月号

特集 ベートーヴェンの新しさ

ベートーヴェンが残した作品は200年たった現在でも新しさを感じることができる。「新しさは作曲された時代における『新しさ』のみが問題なのではなく、その後の時代においても聴衆や演奏者に常に新しさをアピールし続けるところに意味がある」と桐朋学園大学名誉教授の西原稔氏。
たとえば交響曲第5番「運命」の冒頭、「ダダダダーン」の4音動機の斬新さは、当時も今も聴衆を驚かす。これだけではない。「第4楽章の途中にも4音動機が回顧され、また当時の交響曲には通常用いられることのなかったトロンボーン、ピッコロ、コントラファゴットといった楽器を効果的に導入して勝利を強調するなど、この交響曲で打ち出された新しい手法は数知れない」と音楽評論家の寺西基之氏は指摘する。
一方で、当時の聴衆にとって、その新しさは戸惑いを覚えさせたのも確か。「運命」について1809年1月25日号の「総合音楽新聞」は「演奏された作品すべてを評価さることは、初めて一度聴いただけではまったく不可能である」と批評した。これは音楽評論家、澤谷夏樹氏が誌面で紹介している。
新しさの例をもう一つ、ピアノ・ソナタ第23番「熱情」は1805年に作曲された。第1楽章でかなり長くペダルを踏む指示がなされている。一方で頻繁に踏みかえる箇所も出てくる。これらは音色の変化を意図したもの。「ペダルの使用はベートーヴェンが“新しい道”を切り開くためのより豊かな音楽表現と密接に直結しているのである」とピアニストの長井進之介氏。
またベートーヴェンを多角的に分析しようと、「ディアベリ変奏曲」とバッハの「ゴルトベルク変奏曲」の比較を音楽評論家の真嶋雄大氏にしてもらった。「ゴルトベルク変奏曲」の構成は3つのグループに大きく分けられ、3曲ごとの変奏などキリスト教の三位一体論に基づくとされる設計は、バッハらしい知的で数学的に統一されている。対して「ディアベリ変奏曲」は、同じ調性が続く変奏曲が2カ所しかないなどから「伝統的な変奏曲の手法を大きく凌駕しており、それゆえ解釈には多くの異なる研究が存在する」という。
特集は他に、◎交響曲第3番「英雄」、第7番、「第九」の新しさ◎ピアノ協奏曲第5番「皇帝」の新しさ◎リスト編曲のベートーヴェンの交響曲◎交響曲第6番「田園」とベルリオーズ「幻想交響曲」◎ベートーヴェンの弟子リースとチェルニー◎カラヤンのベートーヴェン演奏、などです。
表紙は、ベートーヴェンです。

◎連載 ピアニストから見たベートーヴェン㊥ 久元祐子
ピアニストで国立音楽大学教授、久元祐子さんの連載。ベートーヴェンは1803年、エラール社からピアノを贈られた。ダイナミックな表現ができるイギリス式アクションの構造を持つ。音域も高音が5度上まで、ファからドまで広がった。「≪ヴァルトシュタイン≫ソナタのスケールの大きさ、複雑で奥行きの深い響きは、エラール・ピアノによって実現されたといえるだろう」とつづる。

◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 工藤和真 テノール
ヴェルディやプッチーニなどイタリア・オペラで活躍しているテノール歌手。盛岡市出身で歌に目覚めたのは中学生のとき。先生のまねをして歌っていた、いい声をしている、と合唱部に誘ってくれたという。「県民性もあるかもしれません。話すときには、あまり口を動かさず、鼻濁音が多いのです。商店街でしゃべっているおばちゃんたちがフランス語をしゃべっているように感じます」

このほか
◎青島広志の「押しもしないが押されてばかり」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎「鍵盤の血脈 井口基成」中丸美繪
など、おもしろい連載、記事が満載です。

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