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MOSTLY CLASSIC(モーストリー・クラシック)
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10月に第18回ショパン国際ピアノ・コンクールが行われます。コロナ禍のため1年延期されての開催です。1927年コンクール第1回の優勝者はソ連のレフ・オボーリン、戦後再開した1949年の第4回の優勝者はハリーナ・チェルニー=ステファンスカ、第6回(1960年)のマウリツィオ・ポリーニ、第7回(1965年)はマルタ・アルゲリッチ、第9回(1970年)はクリスチャン・ツィメルマンと、そうそうたるピアニストが名を連ねます。
果たしてショパン国際ピアノ・コンクールなど世界のコンクールの優勝・入賞は必然なのでしょうか。飛びぬけた実力があれば優勝は当然なのでしょうか。ポリーニが優勝したとき、審査委員長を務めた巨匠アルトゥール・ルービンシュタインが「ここにいる我々審査員の誰よりもうまい」と話していますが、このポリーニのケースなどコンクール優勝は「必然」だったといえるでしょう。では1980年のショパン・コンクールで、イーヴォ・ポゴレリチは入賞さえできませんでした。しかし審査委員のアルゲリッチが「彼は天才」と認めたことで、1位のダン・タイ・ソン以上にポゴレリチに注目が集まりました。コンクールの結果はタイミングや運が左右することがあります。
ピアノ協奏曲、練習曲集、24の前奏曲、アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ、舟歌、マズルカ、ワルツ、バラード、夜想曲などショパンの名作を並べたらきりがありません。ピアノ協奏曲について音楽評論家の寺西基之氏は「ロマンティックな感情表現と民俗的語法に基づくポーランド精神の表出の融合という、生涯にわたるショパンの音楽的美質が、後年手がけなかった協奏曲様式のうちにみずみずしく息づいている」と記しています。
ロマン派の時代に生きたショパンですが、作品は「古典派の根幹、形式美にこだわった」と音楽評論家の真嶋雄大氏。「ポーランドの民族舞曲に清新な風合いと自らの心象風景を投入したポロネーズやマズルカ、そしてワルツや舟歌、つまりショパンは決して形式をはみ出さず、壊さず、あくまで形式の範囲内での進取性を模索したのです」といいます。
ショパンの作品を得意とする「ショパン弾き」は昔も今もたくさんいます。ショパンが弾ければ、他の作曲家の作品もうまいのでしょうか。先述したショパンには古典性が元にあるということは、ショパン以前の古典的な作曲家の作品も弾ける可能性が大きいのです。また後期ロマン派以降にもショパンは大きな影響を与えています。つまりショパンの作品は過去から未来までの多様性を宿しているということです。「ショパン演奏に秀でたピアニストがピアノ演奏のどんなレパートリーも弾きこなせる可能性や期待感を有しているのは当然」と音楽評論家の高久暁氏は書いています。項目は他に◎芸術の都パリのショパンとリスト◎ショパンのピアノ、プレイエルとエラール◎ショパン演奏の変遷と彼の作品を生かす奏法とは◎ショパンが苦手なピアニスト◎天才作曲家と対等の立場だったパートナーたち◎ショパン、シューマン、リストのピアノ作品の特徴と違い、など。
表紙は、ラジヴィウ公の邸宅で演奏するショパンです。

◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 西脇義訓 指揮者・録音プロデューサー
西脇義訓氏はフィリップスに勤務し、レコード会社エヌ・アンド・エフ社を創立した。録音プロデューサーを務める傍ら、自分が指揮するデア・リング東京オーケストラを立ち上げた。はじめ録音するだけのオーケストラだったが、演奏活動をするようになり、9月4日には埼玉・所沢で公演を行った。オーケストラの編成をばらばらにし、半円形に座らず、1列目にチェロ、2列目にヴィオラ、ヴァイオリンの隣にフルートなどと常識とはかけ離れた配置をし、前を向いて立って演奏する。「前を向いていることで『空間』を聴くことができます。皆が意識を集中して聴きながら、空間の遠くで音を合わせるようにするのです」と話す。

◎BIGが語る ヨーヨー・マ チェロ
今年の第32回高松宮殿下記念世界文化賞・音楽部門の受賞者は、中国系アメリカ人の世界的チェリスト、ヨーヨー・マ。古典から現代曲まで広範なレパートリーを持ち、「リベルタンゴ」の録音は、日本でピアソラ・ブームを巻き起こした。現在は世界中で「バッハ・プロジェクト」を行っており、11月に沖縄で無伴奏チェロ組曲を演奏する予定。
7歳のとき、ケネディ大統領の前で演奏しているが、そのときのことで覚えているのはコメディアンのダニー・ケイに会ったこと。「小さな私に目線を合わせてしゃがんで話しかけてくれたことです。それ以来、私はこの教訓を胸に刻み、友人や同僚にそのような敬意と優しさを求め、すべての行動においてそれを実践しようとしています」と話す。

このほか
◎青島広志の「押しもしないが押されてばかり」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎「鍵盤の血脈 井口基成」中丸美繪
など、おもしろい連載、記事が満載です。

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