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MOSTLY CLASSIC(モーストリー・クラシック)
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■目次■
ワーグナーのオペラは、オペラの中でも独自の魅力を放っている。特に「ニーベルングの指環」4部作は、その世界観と長大な長さもあいまって圧倒される。それは「ワーグナーは人間社会の普遍的な問題を提起している」(西原稔・桐朋学園大名誉教授)からだろう。
「ニーベルングの指環」4部作は、序夜「ラインの黄金」、第1日「ワルキューレ」、第2日「ジークフリート」、第3日「神々の黄昏」。「ラインの黄金」の上演時間は2時間半ほどだが、続く3本は4時間から5時間弱という長さ。
ワーグナーは作曲だけではなく、台本もすべて自分で書いた稀有な作曲家。「指環」を書くにあたって主な素材にしたのは、ドイツ中世英雄叙事詩「ニーベルンゲンの歌」と北欧神話の「ヴォルスンガ・サガ」。「ヴォルスンガ・サガ」はライン河の伝説が北欧に伝わったものが、北欧神話化され、まとめられたもの。
「ワーグナーは、まずは2つの素材を粉々にしてから、新しいジークフリートの物語を作り上げた。しかも『ヴォルスンガ・サガ』では数行で済まされていたジークフリートとブリュンヒルデの愛を拡大させて、新しい独自の愛の物語を展開させた。さらにこの2人の『愛』を悪漢ハーゲンの『権力』と対立させ、4部作全体に『権力』と『愛』の対立を張り巡らせた。ここにワーグナーの独創性がある」と石川栄作・放送大学徳島学習センター所長。
「ラインの黄金」は、ライン川の川底にある黄金の指環を3人の乙女が守っていた。指環を奪った小人族アルベリヒは地底で一大王国を作り上げる。神々の長ヴォータンはアルベリヒから世界を支配する指環を奪う。「ワルキューレ」は、フンディングの家に傷ついたジークムントが逃げ込む。夫の留守を預かるジークリンデはジークムントに強く惹かれる。「ノートゥング」と名付けられた剣を持って2人は逃亡する。「ジークフリート」では、ジークリンデが産み落としたジークフリートがアルベリヒの弟ミーメに育てられる。ジークフリートの力を利用して指環を取り返すことをもくろんでいる。父ヴォータンの命に逆らい眠りにつかされていたブリュンヒルデはジークフリートによって目覚める。「神々の黄昏」では、ジークフリートがギービヒ家のグンターを訪ねる。そこでジークフリートは過去を忘れる薬を飲まされてしまう。
「指環」を上演するためにワーグナーが建てたのがバイロイト祝祭劇場、そこで毎年夏、行われているのがバイロイト音楽祭。ここはワグネリアンにとっては聖地である。1876年、「指環」の全曲初演をもってこけら落しされた。指揮はハンス・リヒター、舞台はヨーゼフ・ホフマンだった。ワーグナーは82年の「パルジファル」初演の翌年に亡くなり、未亡人コージマが後を引き継いだ。そして息子のジークフリート、その妻のヴィニフレートと繋がれ、現在はワーグナーから数えて4代目のカタリーナ・ワーグナーが芸術監督を務めている。項目はほかに◎「さまよえるオランダ人」「タンホイザー」「ローエングリン」「トリスタンとイゾルデ」「マイスタージンガー」◎卓越した芸術家を支えた妻コージマの生きかた◎バイエルン王国という存在、など。表紙は、ワーグナー、背景はバイロイト祝祭劇場です。

◎2022年注目の来日演奏家
新型コロナのオミクロン株の感染拡大で、昨年12月から外国人アーティストが来日できない事態が続いている。毎年恒例の「注目の来日演奏家」だが、早くコロナ禍が収まり、予定されている演奏家が来日できることを願っている。
オーケストラで注目したいのは若手指揮者とメジャー級の組み合わせ。マティアス・ロウヴァリ&フィルハーモニア管(3月)、ラハフ・シャニ&イスラエル・フィル(4月)、クラウス・マケラ&パリ管(10月)。ソリストはコロナ禍の中でも来日してくれ、日本の聴衆を楽しませてくれた。ピアノはルドルフ・ブッフビンダー(2月)、アンヌ・ケフェレック(4月)、キット・アームストロング(6月)、エフゲニ・ボジャノフ(7月)らが来日予定。
ヴァイオリニスト、チェリストも多彩なアーティストが公演する。フランスの人気ヴァイオリニスト、ゴーティエ・カプソン(4月)、おなじみのベテランのチェリスト、ミッシャ・マイスキー(5月)、秋はアリーナ・イブラギモヴァ(9月)、イツァーク・パールマン(10月)パトツィア・コパチンスカヤ(同)、ヴィクトリア・ムローヴァ(11月)など聴きたい演奏家が目白押し。
オペラでは、イタリア・シチリアのパレルモ・マッシモ劇場が6月に「シモン・ボッカネグラ」と「ラ・ボエーム」を公演する。アメリカのメトロポリタン歌劇場管は「ワルキューレ」「トロイアの人々」などのオペラの抜粋を上演する(同)。

◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト ハルキさん(活動弁士)
無声映画に語りをいれる活動弁士。映画草創期に活躍した。やがて映画に音がついたトーキー映画が生まれ、弁士の活躍の場はなくなった。しかし、現在も活動弁士は存在し、映画を楽しむことができる。その一人がハルキさん。日本の活動弁士は、義太夫や浄瑠璃など語りの文化を持っているため独自の発展をし、今日まで続いている。「100年前の映画でも楽しく見られるということを知ってほしいという気持ちがあります」とハルキさんは話す。

このほか
◎青島広志の「押しもしないが押されてばかり」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎「鍵盤の血脈 井口基成」中丸美繪
―など、おもしろい連載、記事が満載です。

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