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MOSTLY CLASSIC(モーストリー・クラシック)
302
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■目次■
ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」とスメタナの連作交響詩「わが祖国」。いずれも世界で愛されている作品だが、1824年生まれのスメタナ、1841年生まれのドヴォルザークと作曲家2人は、いずれもボヘミア生まれ。チェコという風土で育ったことがこれらの傑作を生みだした。ほかにハンガリー、ポーランドといった東欧の作曲家とふるさとのかかわりを特集している。
ドヴォルザークはプラハに近い村の肉屋兼宿屋の家に生まれた。聖歌隊で歌い、アマチュア楽団でヴァイオリンを弾くなどして音楽に親しんだ。12 歳の時にズロニツェの伯父の家に送られ、ここでドイツ語の師アントニン・リーマンから音楽理論を学ぶ。さらにプラハのオルガン学校に入学。幼い時から触れた民俗音楽の上に、クラシック音楽の古典的な様式などを学んだことが、ドヴォルザークの音楽の基礎を作った。
ドヴォルザークは1892年、ニューヨークのナショナル音楽院の院長としてアメリカに渡る。翌93年、交響曲第9番「新世界より」を作曲した。アメリカの民俗音楽や黒人霊歌に通じる楽想が用いられているなど、新世界で受けた影響が反映されている。しかし、「この作品はアメリカの民俗音楽や新大陸の文化の要素を取り入れつつも、それらをチェコの音楽の特徴に重ね合わせ、チェコの民族色に満ちた音楽に仕立て上げられている」と音楽評論家の寺西基之氏。
ドヴォルザークより17歳年上のスメタナは、モラヴィアに近い都市リトミシュルで、ビール製造業者の長男として生まれ、ヴァイオリンを愛奏する父親から音楽の手ほどきを受けた。スメタナはチェコ語が話せなかった。ドイツ語は公用語のひとつであり、貴族の館に出入りする醸造家の父親は、家でもドイツ語を話したからだ。しかし、1848年の「プラハ聖霊降臨祭蜂起」は、スメタナの愛国心にも火をともし、母国語を学び始めた。
「わが祖国」は1874年から79 年にかけて作曲された。スメタナ1874年の夏に健康を損ない、それから3カ月ほどで完全に失聴。だから作曲家はこの作品の演奏を聴くことはできなかった。「スメタナはこの連作を通して、交響詩をナショナルな題材を表現するジャンルとして確立し、音楽的には循環形式風の手法を用いて曲の一体性を保つように工夫した。欧州辺縁国の国民楽派は以後、このスタイルに倣うようになる。その点でこの作品は、単なる聴き物を超えて、西洋音楽史に名前を刻む存在となった」と音楽評論家の澤谷夏樹氏はつづっている。項目は他に◎バルトーク・ベーラの「祖国」◎ヤナーチェクの創作人生◎ハンガリーのマルチ音楽家コダーイ◎ショパン、その祖国への思い◎東欧の国民楽派はなぜ生まれたのか◎東欧のユダヤ人とクラシック音楽、など。表紙は、ドヴォルザーク、スメタナ、バルトーク、ショパン、プラハを流れるヴルタヴァ川です。

◎宮本文昭の気軽に話そう 周防亮介 ヴァイオリン
若手のヴァイオリニスト、周防亮介。京都府生まれで、7歳からヴァイオリンを習い始めた。先生のレッスンを受けるために、先生の家の近くに一家で引っ越しをしたというエピソードも語っている。まさに「孟母三遷」の故事のごとくである。中学1年からは小栗まち絵先生についた。東京音大に進学すると、小栗先生も同大の特任教授に就任。「小栗先生は技術的なことはもちろん、舞台への出て行き方、歩き方、お辞儀の仕方や衣装なども、生徒に合わせてプロデュースしてくださる」。ヴァイオリニストは先生との二人三脚で作られる。

◎新連載 行きたい街角、聴きたい音楽~世界の音楽都市を訪ねて~
今月から音楽評論家、加藤浩子さんの新連載が始まった。第1回はニューヨークのオペラの殿堂、メトロポリタン歌劇場(MET)を取り上げている。「カーテンコールではまず例外なくスタンディングオベーション。けれどほぼ1回こっきりで、すぐ帰る。日本のように何度もカーテンコールが繰り返されることは珍しい」と、日本とは異なる聴衆の反応を伝えてくれるなど、面白い読み物に仕上がっている。コロナ禍でまだ自由に世界各地に出かけられない日々が続く。この連載を読んで、旅した気分を。

◎特別企画 サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン2022
国内最大級の室内楽の祝典「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン2022」が6月4日(土)から19日(日)まで行われる。初夏の音楽祭としてすっかり年中行事となった。オープニングはチェリストである堤剛サントリーホール館長のプロデュース公演。ピアノの小菅優とクラリネットの吉田誠のトリオでブラームスとフォーレなどを。目玉企画の「ベートーヴェン・サイクル」はアトリウム弦楽四重奏団が登場する。6夜にわたり、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を演奏する。「フォルテピアノ・カレイドスコープ」にも注目。現在のピアノの前段階のフォルテピアノが3台登場し、デンハーグ五重奏団や渡邉順生らが出演する。12企画22公演と盛りだくさん。


このほか
◎青島広志の「押しもしないが押されてばかり」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎「鍵盤の血脈 井口基成」中丸美繪
など、おもしろい連載、記事が満載です。

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