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アイデア
No.399
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■目次■
社会が成熟し、機能や品質、造形的な美しさだけでは市場に溢れる商品やサービスの差別化が難しくなっている現代において、“コト”をどのようにデザインするかというデザイナーの職能はますます求められている。そうしたデザインの実践の場のひとつが、本特集で取り上げるブランディングデザインという領域だが、従来のような優れたコーポレートアイデンティティや商品パッケージをデザインするだけでは現代のブランディングデザインは成立しない。より良い社会や環境への配慮があり、透明性と持続可能性のある商品サービスであるか、やりがいや豊かさを生むビジネスであるかなど、企業理念や組織運営と一貫した思想のもとにモノやコトがデザインされていることが成功事例として必要な条件だろう。

このように複雑化するブランディングデザインの領域において、グラフィックデザイナーたちが培ってきた思考のプロセスや具現化の方法を整理し、デザイナー以外の人にも応用できるアプローチとしてまとめられたのが、2010年前後を境に世界的なトレンドとして注目されている「デザイン思考(Designthinking)」だ。具体的には、デザイナーたちがクライアントや消費者のニーズを経済的・技術的な制約があるなかで実現しようとする際の行動指針であり、機能性だけでなく感情的な価値にも重きを置く人間中心のアプローチだといえる。人対人のコミュニケーションを通じて考えを共有・共感しあい、そこからニーズや問題を突き止め、アイデアを具現化する。さらに、トライアル・アンド・エラーを繰り返し、コンセプトを改良していくという、プロセス重視型の提言だ。

アメリカで提唱されたこの考え方は、日本でもビジネスを変える革新的なアイデアとして関連書籍が多数刊行されるなど大きな反響を呼んでいるが、“誰でも取り入れられる”という点がひとり歩きし、インスタントなビジネス論として誤った受け入れられ方をしているところもあるだろう。「デザイン=課題解決」といった広義のデザインの浸透により、デザインさえあればどんな問題でも解決できるという、まるで“デザイン”が魔法の言葉であるかのような誤解を招いているように思う。

そこで、本特集では、日本、アジア、オセアニア、中東、欧米の7つのデザインスタジオを取り上げ、クライアントの希望を叶えることだけでなく、自分たちに合ったものづくりの環境を探求し、生き生きとした仕事を具現化している人間中心のデザインの実践者たちを紹介していく。彼/彼女らのものづくりの姿勢を通じて、本来「デザイン思考」で提唱されていた考え方について再考し、よりよいかたちに更新していくためのヒントを探していきたい。

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